景観と藝術

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札幌国際芸術祭が開催されており、ぼくも時間をかけて色々見て歩こうと思っています。
札幌は開拓期より都市計画を練って作られた街であり、しかも年間の積雪量が6m前後です。
その中に190万人が生活するという稀有な街であることが「都市と自然」のキーワードなのかと。

自然、とは森などの樹木だけではなく、天候、自然現象、そして降雪。
整然とした大都市が季節に因って景観が豹変するからこそのテーマです。
会場の一つであるモエレ沼公園は市民の憩いの公園として人気の高い場所です。
故イサム・ノグチ氏の基本設計で完成したすばらしい作品であると云えるでしょう。
彼の遺作とも云える作品も自然現象で大きく景観が変わります。

人と自然環境との融合、そして冬には日々変わる雪の造形こそアート。
身近に感じるアートが札幌の面白さでもあり、今後のまちづくりにもアートが活かされるでしょう。
藝術とは広く、絵画や彫刻だけではなく、音楽、写真などの表現全般を指します。
現代アートはわかんない、そういう声も聞かれます。
でも無理に理解するのではなく「何か感じる」ことこそ重要で、好きか嫌いかでもいいと思います。

札幌は今後も人口推移に因って様々に変化してゆくでしょう。
交通インフラもきっと変貌してゆくと思います。LRTを中心に誰にも優しい交通システムが求められます。
市電の新型車両A1200型は工業デザイナーとして大変著名な株式会社GKインダストリアルデザイン作。
(キッコーマンの卓上醤油差し瓶はGKの作品)
これも札幌の都市景観との一体化を考えられたデザインです。

今だけのことじゃないのです。50年後、いや100年後の札幌はどうあるべきか。
たとえ市長が変わっても札幌という都市がこのように文化面に力を入れていくことを望みたいです。

札幌オリンピックがひとつの契機になって札幌は大都市へ変貌してきました。
当時の市長原田與作氏の熱意が板垣武四氏へと受け継がれ、オリンピックを成功へ導き、
更には地下鉄の開通、パシフィックミュージックフェスティバルなどの開催を決めたのも板垣元市長。
「他の都市より20年先を見据えた街を作った」と評価されたほど。
モエレ沼公園も板垣市長のGOサインです。税金の無駄遣いとも云われたらしいですが、
いま、モエレ沼公園を批判する方はそう多くないと思います。
イサム・ノグチ氏も板垣市長もモエレ沼公園の完成を見る前に鬼籍に入られました。

現上田市長も文化面への造詣が深いことで知られますが、彼も長いスパンで札幌を考えているのでしょう。
今後札幌には大きな商業ビルが建ちますが、そこにはギャラリーとホールの設置も計画されています。
本格的に未来を見据えたまちづくりが始まっているのです。
「創造都市さっぽろ」が市民、自治体、民間企業の手で動き出しています。

いまそこにあるもの。それはすべてアートであふれている。ぼくはそう思っています。

今日は話が長くてごめんね。
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by ariari | 2014-08-09 02:18 | ふつうの風景